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相続関係説明図と法定相続情報一覧図、何が違う?どちらを使えばいい?

最終更新日:2026年9月9日

相続の手続きを調べていると、「相続関係説明図」と「法定相続情報一覧図」という、よく似た名前の書類に出会います。どちらも亡くなった方と相続人の関係を家系図のように描いた図ですが、役割はまったく別です。本ガイドでは、2つの書類の違いを法務局の案内に沿って整理し、相続登記だけで済む人・銀行や年金の手続きも控えている人それぞれに、どちらを用意すべきかをご提案します。

30秒でわかる結論

2つの書類の違いは、法務局の認証があるかどうかに集約されます。

したがって、手続きが相続登記1件で終わるなら相続関係説明図で足りることが多く、銀行・証券・年金など複数の窓口を回るなら法定相続情報一覧図を取っておくほうが手間が減ります。多くの相続では後者に当たるため、迷ったら法定相続情報一覧図を用意するのが安全な選択です。

相続関係説明図とは — 登記申請に添える「自作の図」

相続関係説明図は、被相続人(亡くなった方)と相続人の関係を図にまとめ、相続登記の申請書に添付する書類です。申請人が自分で作成するもので、法務局が内容を審査して証明を与える仕組みはありません。登記官が戸籍を読み解くときの「見取り図」として機能する、いわば補助資料です。

いちばんの役割は「戸籍の原本を返してもらう」こと

登記申請に添付した書類は、原則としてそのまま法務局に提出します。原本を返してもらいたい場合(原本還付)は、書類のコピーを作り、「原本に相違ない」と記載して署名・押印したものを添える必要があります。相続登記で提出する戸籍・除籍謄本は数通から十数通になることも多く、この作業だけでかなりの手間です。

そこで法務局は、戸籍謄本・除籍謄本などについては、相続関係説明図がコピーの代わりになると案内しています。法務局の不動産登記申請書様式のページには、相続関係説明図を戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)・除籍全部事項証明書(除籍謄本)等と一緒に提出した場合、登記の調査が終了した後に戸籍謄本等の原本を返却できる旨が明記されています。返ってきた戸籍の原本は、次の手続き(銀行など)でまた使えます。

できないこと

「相続関係図」「親族関係図」と検索している方へ

これらの言葉で探している図は、多くの場合この相続関係説明図か、次に説明する法定相続情報一覧図のどちらかです。「相続登記の申請書に添付するだけ」なら相続関係説明図、「銀行や年金でも使いたい」なら法定相続情報一覧図、と目的で判断してください。

法定相続情報一覧図とは — 法務局が認証する「公的な写し」

法定相続情報一覧図は、2017年(平成29年)5月に始まった法定相続情報証明制度に基づく書類です。相続人(またはその代理人)が、被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本と、自分で作成した一覧図、申出書を法務局(登記所)に提出すると、登記官が戸籍の束と一覧図を照合し、民法に定められた相続関係と合致していることを確認したうえで、認証文を付した一覧図の写しを無料で交付してくれます。

相続関係説明図との決定的な違い

手間がかかる点

法務局への申出という手続きが1つ増え、交付までに日数がかかります。また、一覧図の記載には法務局が定めるルールがあり、書き方を誤ると補正を求められます。この点は本サイトの書き方ガイドよくある間違いで詳しく解説しています。

利用先に事前確認を

法務局は、一覧図の写しを使って手続きをする際は、あらかじめ利用先の機関に「写し以外で必要となる書類」を確認するよう案内しています。金融機関によっては、写しに加えて遺産分割協議書や印鑑証明書など別の書類を求められることがあります。

違いを一覧で比較

2つの書類を、実際に手続きを進めるうえで気になる観点から並べて比較しました。

項目 相続関係説明図 法定相続情報一覧図
作るのは誰か 申請人が自分で作成 申出人が原案を作成し、法務局が認証
法務局の認証 なし あり(登記官の認証文付きの写しが交付される)
提出先 相続登記の申請書に添付(法務局) 法務局に「申出」をして写しを取得。写しを各機関へ提出
戸籍の束 原本を一緒に提出。登記完了後に返却される 申出時に一度提出。返却後は写しで代替でき、各機関への提出を省略できる
銀行・年金・相続税での利用 戸籍の代わりにはならない 戸籍の束の代わりとして利用できる(利用先に事前確認)
費用 無料(自作) 無料(法務局の交付手数料は不要)
手続きの手間 図を描いて申請書に添えるだけ 申出書の作成と法務局への申出が必要。交付まで日数がかかる
再取得 —(都度作成) 5年間は再交付を受けられる
法定相続情報番号(2024年4月〜) 該当なし 不動産登記の申請書に番号を記載すれば、写しの添付自体を省略できる(登記以外の手続きでは使えない)

整理すると、相続関係説明図は「登記1件のための原本還付の道具」、法定相続情報一覧図は「相続手続き全体で戸籍の束を持ち歩かないための証明書」です。目的が違うので、どちらが優れているかではなく、自分の手続きの数で選ぶのが正解です。

相続関係説明図で足りるケース

次のような状況では、法定相続情報一覧図を取らずに相続関係説明図だけで進めても、手間はほとんど増えません。

手続きが相続登記だけで終わる

戸籍を使う先が1〜2か所しかない

すでに司法書士に登記を依頼している

ケース例

父が亡くなり、相続人は母と長男の2人。財産は自宅の土地建物のみで、預貯金は生前にほぼ使い切っていた。母が単独で自宅を相続する登記を申請する。→ 手続きは相続登記1件だけなので、相続関係説明図を添付して原本還付を受ければ十分です。

法定相続情報一覧図を選ぶべきケース

次のいずれかに当たる場合は、法務局への申出の手間をかけてでも、法定相続情報一覧図の写しを取得しておくことをお勧めします。実際の相続では、こちらに該当する方のほうが多いはずです。

手続きをする窓口が3か所以上ある

戸籍の束を1か所ずつ順番に出して返してもらう方式では、窓口の数だけ往復と待ち時間が発生します。写しを必要な通数もらって同時に進めれば、この待ち時間がなくなります。

戸籍の通数が多い

束が厚いほど、窓口ごとの確認に時間がかかり、紛失のリスクも上がります。一覧図の写しは1〜数枚にまとまるため、扱いが格段に楽になります。

相続人が遠方にいて手分けしたい

ケース例

母が亡くなり、相続人は長女・次女・長男の3人。財産は自宅、銀行2行と信用金庫の預金、証券口座、そして相続税の申告が必要な規模。長男は九州、姉妹は関東に住んでいる。→ 提出先が6か所以上あり相続人も離れているため、法定相続情報一覧図の写しを人数分取得して同時並行で進めるのが合理的です。

相続登記の義務化にも関係します

2024年(令和6年)4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化されました。この施行日より前に発生していた相続についても、2027年(令和9年)3月31日までに登記する必要があり、正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になります。相続登記そのものは相続関係説明図だけでも進められますが、預貯金や証券の手続きも控えているなら、法定相続情報一覧図の写しを早めに取得しておくと、期限に追われながら書類をそろえ直す事態を避けやすくなります。詳しくは相続登記の義務化をご覧ください。

よくある疑問 — 両方必要?テンプレートは?

両方作らないといけないの?

通常はどちらか一方で足ります。法定相続情報一覧図の写しを取得し、それを相続登記の申請書に添付するなら、戸籍の束そのものを提出しないので、原本還付のための相続関係説明図は不要です。逆に、戸籍の原本を直接添付して登記だけを済ませるなら、相続関係説明図だけで足ります。「一覧図の写しと戸籍を両方出し、さらに相続関係説明図も添える」という組み合わせは、通常は必要ありません。

相続関係説明図のテンプレートはどこにある?

相続関係説明図には、法定相続情報一覧図のように法務局が交付のために定めた様式はなく、被相続人と相続人の氏名・生年月日・続柄などを線でつないだ図であれば形式は問われません。法務局の登記申請書の案内には、戸籍と一緒に提出する前提で相続関係説明図に触れた記載があるので、それを参考に手書きや表計算ソフトで作成できます。

一方で、法定相続情報一覧図には法務局が公開している様式と記載例があり、線の引き方や「(申出人)」の表記、住所の記載などにルールがあります。本ツールは、その様式に沿った一覧図をブラウザ上で作成してPDFにするためのものです。相続関係説明図として使いたい場合も、被相続人と相続人の関係を図にするという点は共通しているため、本ツールで作成した図を土台にして必要な項目を整えれば、作図の手間を省けます。

相続放棄した人や遺産分割の結果は反映される?

法定相続情報一覧図は、戸籍の記載から判明する「法定相続人」を一覧にした図です。誰がどの財産を相続するかという遺産分割の結果は反映されません。相続放棄や遺産分割協議の内容を証明するには、それぞれ家庭裁判所の書面や遺産分割協議書を別に用意します。

一覧図の写しは何年使える?何枚もらえる?

写し自体に法律上の有効期限はありませんが、提出先の機関が「発行から○か月以内」といった期限を設けていることがあります。枚数は必要な通数を無料で交付してもらえ、一覧図は法務局で5年間保存されるため、その間は再交付も受けられます。詳しくは有効期限・枚数についてをご覧ください。

法定相続情報番号があれば、写しは提出しなくていい?

不動産登記の手続きに限っては、その通りです。2024年4月1日以降、写しの右肩に記載された法定相続情報番号を登記申請書に記載すれば、写しの添付そのものを省略できます。ただし、この番号が使えるのは法務局での不動産登記の手続きだけで、銀行の払戻しや年金・相続税の手続きでは、これまで通り認証文付きの写しの提出が必要です。

法定相続情報一覧図を本ツールで作成する

一覧図の「原案」は自分で作る必要がある

法務局に申出をする際は、申出人が一覧図を作成して提出します。法務局が白紙から作ってくれるわけではありません。本ツールは、被相続人と相続人の情報を入力するだけで、法務局の様式に沿った一覧図のPDFを作成できる無料のWebアプリです。

法定相続情報一覧図を取得するまでの流れ

  1. 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本を集める
  2. 被相続人の住民票の除票と、申出人の本人確認書類を用意する
  3. 本ツールで法定相続情報一覧図を作成し、PDFを印刷する
  4. 申出書を記入する
  5. 被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局に、窓口または郵送で申出をする
  6. 認証文付きの写しを必要な通数受け取る(戸籍の原本も返却される)
  7. 写しを相続登記・銀行・年金・相続税の各手続きに使う。不動産登記の手続きであれば、写しの代わりに一覧図に記載された法定相続情報番号を申請書に書くだけで済ませることもできる
相続登記だけなら相続関係説明図でも十分。でも、その先の手続きがあるなら

戸籍の束を窓口ごとに出して返してもらう往復をなくせるのが、法定相続情報一覧図のいちばんの価値です。銀行や年金の手続きが1つでも控えているなら、原案の作成に3分かけてでも取得しておく価値があります。

複数の手続きがあるなら、法定相続情報一覧図を

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